「自己理解」と「仕事理解」
転職には、まず大前提として何に関心があり、何ができるのかを知る、「自己理解」を深めることが基本になります。
また 、応募先の仕事内容と必要な能力をしっかりと把握する「仕事理解」も大切です 。
自分自身や転職支援を利用して自己分析することが、希望の仕事や会社と出会うには重要です。
目次:
1.なぜ自己分析が必要なのか?
転職は、働く人と職場の両方が関係することです。
採用していないのに一方的に職場で働かせたり、働いたりすることはありません。
必ず、双方の間で合意があり、仕事が成り立っています。
自分がどんな仕事をしたいのか、どんな能力があり、それを仕事に活かせて給料をもらうのかということには、まずは自分を知らなければ希望の仕事に就くには困難になります。
2.自己理解の4つの項目
自己理解を深める指標は4つあります。
興味・関心がある仕事
自分の能力
人生の価値観
労働条件
この4つを意識して考えてみましょう。
自己分析を行うことで、自分の強みや興味に合った職種や業界を発見しやすくなります。
転職希望や相談など、転職エージェントの活用もおすすめいたします。
3.適性検査
もし、具体的に自己理解が深まらない場合は、適性検査を活用してみる方法もあります 。
興味・関心の確認
「どんな職業に関心があるのか」は、職業に対する関心の大きな方向性を知ることになります。
例えば「人」に関心があるのか、「もの」に関心があるのかでは、職業選択も全く異なってきます 。
方法として、VPI職業興味検査を行うか、または職業紹介事業所や転職支援サービスでは、興味・関心の検査や相談及び分析のサポートをしてくれますので、上手に取り入れていきましょう。
適職という選択肢も大いにあります
興味・関心の確認により、自分の関心の高い職業領域は分かったけれど、別の職業領域の仕事を希望す る場合もあります。
例えば、「モノづくり系の領域」に関心の高い人が、「営業系の領域」に属する仕事を担当する場合です。この場合は、モノに関する関心と知識を生かして、豊富な製品知識を顧客に提供することによって受注を獲得し、営業成績も素晴らしい場合です。
まさに、自分が就いた仕事を「適職にする」例です。
「自己理解」と「仕事理解」を深め、その上で最も適合する仕事に就くのが良いのですが、その仕事の採用に至る難易度も同時に検討します。いくら適性が高く、仕事を気に入ったとしても、採用されなければ時間と労力を消費しただけになってしまう可能性もあります。
検査結果と異なる職業領域だから必ずしもうまくいかないということはありませんので、あくまでも参考としてご活用ください。
4.キャリア・アンカーで価値観の確認
人生における価値観とは、自分が何を大切にして生きていくかです。
仕事において価値観を確認するには、キャリア・アンカーを活用しましょう。
キャリアを選択していく上で、最も大切で譲れない軸となるものです。
キャリア・アンカーは経験を経て培われていくものですので、キャリアが浅い方にはピンとこないかもしれません。
ただ、長年の経験をかけて一度形成されたキャリア・アンカーは、周りの環境や状況、年齢を重ねたとしても、変動することなくキャリアの軸であり続けると言われています。
[マサチューセッツ工科大学 組織心理学者 エドガー・H・シャイン博士の提唱]
キャリア・アンカーの8つのタイプ
提唱された8つの分類をご紹介いたします。
管理能力
管理職に興味や適性を持つ人々が、このタイプに該当します。組織の運営やリーダーシップスキルを発揮することで、職務への満足感を得ることを重視します。
専門・職能能力
このタイプの人は、専門的な知識や技術スキルを高めることに重きを置きます。自分の専門分野での成長や専門知識を追求して、正確で生産性効率も良く、仕事を進めます。
自律・独立
自分が納得のできるやり方で仕事を進めたいタイプです。
自分のペースで仕事を進めることに満足感を感じます。
保障・安定
安定した職場環境や収入、キャリアの安全性を求める人々が、このタイプに属します。不確実性やリスクを避け、転職への興味は薄く、安定感を重視します。
起業家的創造性
新しいアイデアやプロジェクトを生み出すことが好きで、起業家的なアプローチを取ることに価値を見出す人々がこのタイプです。創造的な活動や新たなチャレンジに興味を持ちます。
奉仕・社会貢献
いかに人の役に立つか、社会的な影響を与える仕事に喜びを感じる人々が、このタイプに該当します。社会貢献や共同体への奉仕を重視します。
純粋な挑戦
知識の追求や学術的な探求に情熱を抱く人々が、このタイプに属します。誰しもが無理だと思うような困難な問題を解決することに喜びを感じます。
生活様式
仕事と家庭のバランスを大切にし、生活スタイルに合わせて仕事を選ぶ傾向にあります。時には仕事よりも私生活を重視することもあります。
これらはあくまでも人それぞれの価値観を分類したものですので、参考にしながら転職活動に活かしましょう。
5.キャリアの棚卸し
今まで経験した職務を書き出して整理します。
従事した仕事や成果があった仕事等から、自分の得意な能力を把握していくものです。
個人が自身のキャリアに関する情報や要素を評価、整理します。
これは、自分の職業や職務、スキル、関心、価値観などについて考え、現在のキャリア状況を振り返ることであり、職務経歴書にも必要となります。
キャリアの棚卸しを行うことで、自分自身の強みや弱み、達成したい目標、将来の方向性などについて自己理解を得ることができます。
6.仕事理解について考える
転職する先の仕事の理解を深めます。
新しい職場や業界での具体的な仕事内容や役割、業務プロセス、求められるスキルや資格、職務の特性について十分な理解を深める必要があります。
仕事内容の把握をする
新しい職場で何を行うのか、具体的な仕事内容や日々の業務について理解しましょう。
業務の範囲、関連するタスクやプロジェクト、期待される成果物等を確認します。
その職種に求められるスキルや資格についても調査し、自分のスキルや経験と合っているかを確認します。必要なスキルを習得するための準備が必要かどうかを考えます。
また、仕事の性質や特性を理解することも重要です。
例えば、顧客の対応が多い仕事なのか、プロジェクトマネジメントが求められる仕事なのか、協力して働くことが必要な仕事なのかを把握します。
職場や業界についての理解
転職先の企業や組織の文化、価値観を理解することも大切です。自分の価値観や働き方が合致するかどうかを確認し、職場環境に適応できるかどうかを考慮します。
業界の動向やトレンドを把握し、将来の展望や競争、業界全体の状況を把握することで、自分のキャリア計画をより戦略的に立てることができます。
仕事理解を進めることで、適切な転職先を選び、スムーズな転職活動を進めるための情報を得ることができます。
自分のキャリア目標と転職先の要件を適切に合わせることで、より充実したキャリアを築く一歩となるでしょう。